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人新世の人間の条件

出版社名 晶文社
出版年月 2023年2月
ISBNコード 978-4-7949-7333-7
4-7949-7333-0
税込価格 1,980円
頁数・縦 178P 20cm

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要旨

気候変動が、人類の存亡にもかかわる最重要課題であることは言を俟たない。対策として、京都議定書をはじめとする国家間での取り決めといった「政治的」な取り組みがなされてきた。だが、その過程では先進国と、これからの成長に向けてエネルギーを必要とする新興国・途上国との間に分断が生じてもいる。本書は、米国の学者オバート・クラーク・タナーが創始した人文学の記念講義である「人間の価値についてのタナー講義」の一環として2015年に行われた講義「人新世の人間の条件」の完訳。インド出身の歴史学者である著者が、気候変動をはじめとする環境危機への取り組みについて、哲学、地質学、歴史学などあらゆる学問の専門家の知見を総動員しながら、議論の起点となる考え方を提示している。現在の環境危機は、化石燃料の大量使用などにより「人間」が引き起こしたものであり、炭素排出量削減といった人間による対策が必要という「人間中心」の考え方が一般的だ。しかし著者は、それに対し「生命中心」の考え方の可能性を示している。著者はシカゴ大学教授で、歴史学方法論、ポストコロニアル理論、サバルタン研究、南アジア史などを専門とする。トインビー賞、タゴール賞など受賞多数。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2023年3月31日]

商品内容

要旨

「人新世」の正体を、あなたはまだ何も知らない―。人文学界で最も名誉ある「タナー講義」を、読みやすい日本語へ完訳。地質学から歴史学まで、あらゆる学問の専門家の知見を総動員し、多くの分断を乗り越えて環境危機をファクトフルに考えるための一冊。かりそめの答えに満足できない現実派の読者におくる。

目次

講義1 時代意識としての気候変動
講義2 人間が中心ではなくなるとき、あるいはガイアの残り
『人新世の人間の条件』に寄せてディペシュ・チャクラバルティ(聞き手:早川健治)

著者紹介

チャクラバルティ,ディペシュ (チャクラバルティ,ディペシュ)   Chakrabarty,Dipesh
1948年インド生まれの歴史学者。シカゴ大学教授。専門は歴史学方法論、ポストコロニアル理論、サバルタン研究、南アジア史など。ベンガル地方の労働史の研究から出発し、1980年にはサバルタン研究の最重要組織であるSubaltern Studiesをラナジット・グハらと共同創設した。その後2000年には主著Provincializing Europeを発表。西洋を起源とする歴史学のカテゴリーを西洋以外の文脈へと開いていくための道を模索し、歴史学の方法論に大きな影響を与えた。2021年発表の最新作The Climate of History in a Planetary Ageでは、人文学者が人為的な地球環境改革とどう向き合っていくべきかという問題を丹念に探究した。トインビー賞、タゴール賞など受賞多数
早川 健治 (ハヤカワ ケンジ)  
翻訳家。哲学修士。CplとGoogleで人材あっ旋担当者として働いた後、独立して現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)