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ほんのいえ宮脇書店越谷店のレビュー |
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掲載レビュー全610件 |
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そして、バトンは渡された | ||
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見事に2019年本屋大賞の栄冠に輝いた。年々、注目度が高まるこの賞のスゴイところは、なんと言っても選び方が本売りのプロフェッショナルである書店員たちの投票で決まるというところ。今回も一次投票には、全国493の本屋で働く623人の書店員が投票したという。しかも今回の大賞作品は、2位以下を大きく引き離してのぶっちぎりだったのだから、それだけでも読む気にさせてくれる。 お話は17歳のひとりの女性の物語。生まれてから4回も名字が変わるという数奇な運命をたどりながらも、まったく悲愴感がない。淡々とした日常の中の愛情とは何かをつくづく考えさせられる。著者瀬尾まいこのいっそうに思い入れがこもった作品だと感じる。 (2019年05月01日) |
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魔眼の匣の殺人 | ||
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小説の舞台が山中の一軒家となれば、正統派ミステリのお膳立ては十分。 書いたのは2017年に鮎川哲也賞受賞などで一気に脚光を浴びた新鋭、今村昌弘。 好評だった前作「屍人荘の殺人」に続く第2弾!目一杯のプレッシャーを背負った期待を越える出来栄えと言えそうだ。王道ミステリファンには目が離せない存在。神木隆之介主演での映画化も決定とのことで、話題は一気に盛り上がること間違いなし。シリーズ化して今後が一層に楽しみだ。 (2019年04月13日) |
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ベルリンは晴れているか | ||
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著者の深緑野分の名は、オモシロイ作品を書くとのもっぱらの評判だ。全国の本売りスペシャリストの書店員からの絶大なる推薦を受けての2019年本屋大賞ノミネート作。舞台は第二次世界大戦直後の敗戦したドイツベルリン。この作品のような精緻な取材によって書かれた書物から歴史を知ることは、今のテーマをひもとくことに通じる。この作品は歴史ミステリーの分野にあるらしいが、エンタテインメント小説として、読書の新しい味わい方を感じさせてくれる。 (2019年04月07日) | ||
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樹木希林120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ | ||
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2018年9月に他界した女優、樹木希林さんが生前に遺したココロに響くメッセージ。大女優でありながら、ナチュラルに生きる希林さんならではの言葉は、やわらかさの中に人生の哲学が隠されているようで重みがある。病気のこと、夫婦のこと、家族のこと、そして生きること死ぬこと、重たいはずのことが希林さんの言葉によって救いにもなって伝わってくる。ちりばめられた写真を懐かしみながら、ゆっくりと読み浸ってください。 (2019年04月02日) | ||
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ノースライト | ||
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沈黙明けの横山秀夫は、一段とキレがいい。かつての超ベストセラー「64」が、7年の沈黙を経た衝撃作だったことを思い出さずにいられない。読者の横山作品への期待度はすこぶる高い。だが、本作もその厳しい読者の目に十分に応えている。随所に練り込まれた建築分野の専門知識に興味をあおられ、ひっ迫した展開の中での叙情的な場面転換の一行にしびれさせられる。横山作品の魅力にあらためて気づかされる。 (2019年03月29日) | ||
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府中三億円事件を計画・実行したのは私です。 | ||
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読み物として、小説としての面白さを味わってもらいたい。過去の重大事件をモチーフにしたこの類の作品は、読み手に想像の翼をいっぱいに広げさせてくれる。当時の事件を知っている世代、そして知らない世代へと。その両者に対して、ひとつの青春ストーリーとして描かれたのがこの作品である。実行犯の告白にしてはリアリティに欠くと言った類いの感想が想像されるが、この本の奥付けの最後に「この作品は、フィクションです。」とあります。小説の楽しみ方のひとつとして、手にとってみてはいかがでしょうか。 (2019年03月03日) | ||
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愛なき世界 | ||
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本屋さんでひときわ目立つブルーバックにした植物をあしらった見事な装丁。 どっぷりと肩までつからせてもらった気分になる学術的な研究の話も、三浦しをんの独特なユーモアが、お堅いイメージの理系の世界へとやさしくいざなってくれる。作者の徹底した探究心が、物語に説得力をもたらしてくれています。かつて「舟を編む」で辞書作りの世界を描いた深掘り感が今回もたっぷりと漂っている。ストーリーに大きな盛り上がりがなくても、静かにほのぼのと時間が流れていく小説が成立するんだなとあらためて感じさせてくれる。これもひとえに作者の力量なのでしょう。次のテーマが何になるんだろう、と先走った期待感さえわいてくる。登場人物にキャラが立っていて、映画化も十分にありえるでしょう。 (2019年02月23日) |
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宝島 | ||
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北越谷に縁のある直木賞作家が登場した。地元の文教大学キャンパスには“祝!直木賞受賞”の垂れ幕が下がっている。タイトルの「宝島」とは沖縄のこと。戦後1952年から沖縄復帰1972年までの20年間の物語。3人の若者が激動の時代を生き抜いていく。541ページにおよぶ長編すべてに渡ってみなぎる圧倒的な熱量と密度に舌をまいた。あえて多用したと思われる沖縄方言にカナルビがふってあることで、読者をリアルに沖縄の舞台へと引きずり込んでいく。この本は現代に続く沖縄基地問題を正しく理解するうえで必読といえます。あらためて、受賞おめでとうございます。 (2019年02月05日) |
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愉楽にて | ||
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林真理子が放つ話題作。日経新聞連載時から、次はどうなる次はどうなると連載モノならではのジレンマを読者に与え続けた話題作。十分すぎる金と名声に飽き足らず、人間の欲望とはここまで追い求めるのかと思わせる。随所に読みどころが散りばめられている。へぇ、こんな世界があるのかと思ってしまうようなリアル感を漂わせて、まさに小説ならではの醍醐味をもたらしてくれる。二人の男性を中心に、東京、京都、シンガポールを舞台にした現代版の源氏物語が展開される。 (2018年12月27日) | ||
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熱帯 | ||
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作家生活15周年の節目の作品。 最後まで読み終えた読者がいないという奇妙な幻の本をめぐって、ナゾがナゾをよんで迷宮をかけめぐる。 極上のファンタジーノベルである。本の分厚さも、テンポの良い運びで飽きさせませんから、どうぞ森見ワールドの門をくぐってみてください。 日本ファンタジーノベル大賞で鮮烈デビューして、山本周五郎賞 、日本SF大賞と次々と話題作を送り出し、「夜行」では直木賞候補になるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。いまや直木賞に最も近い旬の作家だ。 (2018年12月23日) |
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昨日がなければ明日もない | ||
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杉村三郎シリーズ2年ぶりの第5弾。探偵とヒトクセありの女性たちとの攻防、中編3話が収められている。日常社会の暗部に入り込み、人間の奥深い感情に鋭く、そして深く斬り込む宮部みゆきならではのストーリーは、時に読者に苦い思いをさせる。だがそんな負のイメージを小説として完結させるところが宮部作品ならではの魅了だろう。多様な登場人物をしっかりと追いながら読み貫きたい。いつも宮部みゆき作品からは映像では伝わらない小説のチカラを感じさせてくれる。 (2018年12月16日) | ||
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沈黙のパレード | ||
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超人気ガリレオシリーズの最新書き下ろし作品。失踪した歌手を目指していた女性をめぐる復讐劇。科学的トリックに複雑な人間模様が絡み合い、二転三転として読む手を休ませない東野圭吾のストーリーテラーぶりはさすが。あまりの密度の濃さに、長編であることをついぞ忘れさせてしまうほどの吸引力は東野作品ならではだろう。映像化間違いなし。今のうちに読んでしまって、アメリカ帰りのガリレオとの再会を楽しみに待ちましょう。 (2018年12月09日) | ||
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日本国紀 | ||
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百田尚樹の壮大にして渾身の歴史書である。学校の教室でハンを押したように教えこまれた歴史ともう一度向き合う機会を与えられる思いがする。圧倒的な筆力で語られるわが国の2000年の歴史の奥深さに一層の興味がわいてくる。同時に誇りに思う気持ちもわいてくる。筆者の術中にはまってしまう悔しさを味わいつつも、残りページが減っていくのが残念なほどの魅力ある一冊。平成が終わろうとするこの大きな節目に、自国の歴史をしっかりと学ぶにふさわしい、まさに歴史的名著といえそうだ。 (2018年12月02日) | ||
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ナナメの夕暮れ | ||
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オードリー若林の最新エッセイ集。若林は知る人ぞ知る、物書きさんなんです。雑誌「ダ・ヴィンチ」の連載分に、新たな書き下ろしを大幅にプラス。初エッセイ集がベストセラーに、続く2作目の前作の旅行エッセイで賞までとっただけに、エッセイストとしてもタダものではないことが証明されている。これがその後を受けての待望の発刊。感性はもとより、ボキャブラリーがじつに豊富である。感じること、そしてそれをコトバで、文字で伝える才能があるのだろう。40歳を前にした芸人、いや人間としての新境地が綴られている。 (2018年10月14日) | ||
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下町ロケット 4 ヤタガラス | ||
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大人気「下町ロケット」シリーズの待ってましたの第4弾。今秋スタートのTVドラマ化でも前評判一押しの原作小説だ。物語は大きく展開する。あらたなライバル企業の出現。プライドをかけた熱き戦い、たぎる情熱が読むものにも伝わってきて、読み応えは十分。目が離せない展開からクライマックスへといざなう池井戸作品の真骨頂がここでも堪能できます。テレビの進展に待ちきれなくなるでしょう。イッキ読みしちゃってください。絶対に裏切りません。 (2018年10月13日) | ||
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コーヒーが冷めないうちに | ||
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9月21日に東宝系で待望の映画化が決定。有村架純ちゃんがスクリーンで見られるとあって、前評判から盛り上がっている。その大人気シリーズの原作なのでこれは見逃せない。過去に戻れるという不思議な都市伝説がある喫茶店「フニクリフニクラ」が舞台。過去に戻るにはちょっと面倒なルールがあるが、それがまたストーリーに深さを感じさせてくれる。切なくも心あたたまる4つの物語。劇団の舞台演出家の川口俊和さんの作とあって、読んでいるだけでも、物語の展開が目に浮かぶよう。この秋、本屋大賞にもノミネートされた話題作を、映画とともにご堪能ください。 (2018年10月07日) | ||
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思い出が消えないうちに | ||
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「コーヒーが冷めないうちに」のシリーズとして100万部を突破した。その人気作の待望の第3弾最新作。今回もとびっきりの4つの物語が盛り込まれている。ちょっとばかり面倒くさいルールがあるが、それを条件に過去に戻れるという喫茶店。そんな都市伝説のある物語の舞台は、北海道の坂の街、函館「喫茶ドナドナ」。過去に戻ることで、人は何を思い、何を伝えようとするのか。切なさいっぱいのエンディングまで楽しんでください。 (2018年10月07日) | ||
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下町ロケット ゴースト | ||
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池井戸潤の大人気代表作シリーズが再び帰ってきた。最新作第三弾、そして早くもこの後には第四弾がスタンバイしている。数々の挫折に屈しない男たちの下町での戦いに新たな挑戦が始まる。お馴染みの佃製作所の個性派キャラの面々にも、動きが出てきた。大きな期待を裏切らない展開が待っています。目の前にはドラマ化が決定、さらには本作の後編になりそうな第四弾も仕込まれている。この機を逃さずに読んでいただきたい。初めての読者にも、これまでの展開や設定がわかりやすいので、躊躇せずに飛び込んでもらいたい。 (2018年09月17日) | ||
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ファーストラヴ | ||
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第159回直木賞受賞作。表紙を見て本作を恋愛小説と思うかもしれないが、これは家族小説である。親を殺してしまった女子大生。その美貌もあってかマスコミで騒がれる出来事となった。その真相を女性臨床心理士がノンフィクションで書き上げようとする。過去、秘密、深い心の闇に迫っていく。読み進むうちに、島本作品の世界にからめとられていく。意外なラスト、そして、島本作品ならではの読後感を味わってほしい。 (2018年09月09日) |
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送り火 | ||
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堂々の芥川賞受賞作!2014年度に「指の骨」で同賞候補になって、その後注目を集め続け、今回はとるべくしてとった。高い描写力と的確な文章力、と圧倒的な高評価を得ての受賞。読めば王道の純文学作品を堪能した気分に浸れる。豊かな自然を背景にして、行き場をなくした少年たちの熱のようなものを感じる。ますます芥川賞作家、高橋弘希から目を離せなくなった。 (2018年08月26日) | ||
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