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| ほんのいえ宮脇書店越谷店のレビュー |
| 掲載レビュー全625件 |
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| DTOPIA | ||
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芥川賞受賞作。南太平洋上の島を舞台に、ひとりの女性を巡って人種の異なる男たちのサバイバルが展開する。沢山の現代的なテーマが折り重なり盛り込まれている。とても映像的な描写に魅力を感じ、作家の感性が漂ってくる。 2022年デビュー作にして文藝賞を受賞した「ジャクソンひとり」は、仏語訳で刊行されている。グローバルな作家活動を予感させて目が離せない。 (2025年02月19日) |
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| 藍を継ぐ海 | ||
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直木賞受賞作。著者は地球科学の科学者であり、専門知識がそこここに練り込まれてはいるが、これは科学小説を越えた、実にヒューマンな物語である。 圧倒的な評価を得ての受賞作だけあって、五つの短編のどれもに質の高さが感じられる。小説を読む新鮮な喜びと感覚をもたらしてくれる。 (2025年02月14日) |
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| 傲慢と善良 | ||
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対照的な男と女の織りなす恋愛小説と括るには、とても収まりきれないほどに思索的で奥深い。人間の本性を深くえぐる一方で、ミステリーやホラー的な要素にも富んでいる。こういった魅力が読む者をグイッとひきつけて、2019年刊行、2022年の文庫化以降もひたすらにロングセラーを続けているのだろう。まさに辻村マジックである。 文庫ならではの朝井リョウの「解説」も読み応えがある。 (2025年02月08日) |
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| サーペントの凱旋 となりのナースエイド | ||
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ドラマ化でも注目の「となりのナースエイド」シリーズ最新刊。ほかの医療サスペンス読み物とはひと味もふた味も違っている。スリル感や緊迫感がたまらない。近未来の最新医療システムを題材としながら、リアル感いっぱいに伝わってくるのは知念作品ならではの魅力だろう。幾重にも重なった伏線を解きほぐしていく快感を読む者にもたらしてくれる。 (2025年01月17日) |
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| 歪曲済アイラービュ | ||
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はじけた住野よるは衝撃的におもしろい。住野よるが取り憑かれたようにノーパソのキーを叩く姿を想像してしまう。 「君の膵臓をたべたい」にどっぷりとはまった読者には想像がつかない住野ワールドが突き抜ける。 小説新潮の掲載時も話題にあがり書籍化を待っていたが、書き下ろしが加わり、いちだんとパワーアップした世界が繰り広げられている。 (2025年01月04日) |
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| 架空犯 | ||
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さすがに読ませてくれる東野圭吾のシリーズ最新作。東野作品は、小説の世界にはまだまだこんなおもしろい話があるぞ、と無限の可能性と喜びをもたらしてくれる。 敏感なセンサーのごとく冴える主人公の謎解きに臨場感は膨れ上がる。解決しそうでなおも謎を深める予想できない展開に、読む者は心地よく翻弄されていく。実に物語のたたみ方が絶妙である。五代刑事の活躍はまだまだ続きそうで今後も期待せずにはいられない。 (2025年01月02日) |
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| マイナーノートで | ||
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待望の最新エッセイ集である。 社会学者として、世の中に多くを発信し、多くの共感を得てきた著者が、感性の源を自らで綴っている。 「通奏低音」「インテルメッツォ」「リタルダンド」「夜想曲」の4つの章に束ねられた文章からは、いたみや怒り、不安や哀しみといった様々な感情が奏でられている。読む者は、気持ちを揺さぶられ、ザワつかせ、深く考える。著者は自ら「人生を終わりから数えるほうが早い年齢になった」後期高齢者と語っているが、静かな言葉の切れ味は鋭い。 (2024年12月13日) |
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| 人魚が逃げた | ||
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歩行者天国を行き交う人々を描く心温まる連作短編小説が5篇。銀座の街並みを散策するように読み進んでしまう、優しさあふれる現代ファンタジー。「虚構の世界へと心をゆだねるひととき」を味わうことができる。青山作品ならではの心地よいあと味感のあと、想像の輪はふくらむ。表紙カバーをときどき眺めると臨場感はさらにあがる。青山ファンタジーに浸り、ふとアンデルセン童話の世界をのぞいてみたくなる。 (2024年12月12日) |
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| 小鳥とリムジン | ||
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さりげない出会いがひとりの女性の人生をやさしく変化させていく。愛すること、死すること、生きることに心静かに向き合える。本作は小川作品の新しい一面を見せながら、こみあげるいとおしさにあふれている。海外でも多くの読者が待っているのがよくわかる。 この機会に既刊「食堂かたつむり」「ライオンのおやつ」の小川糸「生きる」3部作を読み返したくなった。 (2024年12月10日) |
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| 大人の流儀 | ||
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読みながら一緒に怒り、笑い、泣いた。そして学ばせてもらった。多くの読者の心に「大人の流儀」は生き続ける。 ラストまで唯一無二のメッセージをのこした。下手な感想など書いたら叱られそうだが、それも叶わなくなった。表紙カバーにシリーズ最終巻とあるのがさびしい。終わりの「またどこかで」の文字がにじんで見えてくる。まずは初巻から読み返したくなった。 (2024年12月02日) |
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| 私のまんまで生きてきた。 | ||
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最高の人生レシピ本。天真爛漫のようでとっても繊細な「料理愛好家」レミさんの優しくもあり逞しくもある、生きる力のエッセンスがあざやかに盛りつけられている。家族愛がこぼれるほどにあふれている。表紙絵やイラストも目をひく。 かたわらに置いてパラっとめくったページを読んでみると肩の緊張がスゥーと抜けて、元気がでてくる本です。 (2024年11月28日) |
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| ひまわり | ||
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プロローグでグイッと心をわしづかみにされる。 この作品は著者の大きな節目を感じさせるほどに読み応えたっぷり。新川作品の魅力のひとつは、心地よい軽妙さ。淀みなく流れ、軽やかでありながら地に足が着いた文章は読む者にいっさいのストレスを感じさせずに没頭できる。それは背筋がピンと張った小説でないと成立しないことを本作で実感し、あらためて大きな魅力を感じた。あらゆる立場から切り込むことができるジャンルを超越した枠におさまらない作家。 (2024年11月26日) |
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| ドヴォルザークに染まるころ | ||
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本屋大賞受賞作家がつむぐ、ドヴォルザーク“家路”の旋律がストーリーの底に流れる優しくも鮮烈な一作。 止まっている過去、止めることのできない現在、止まってほしいと願う時間、それぞれが耐えながら向き合う日常を見つめ直すことができる。田舎町の濃密な人間関係を浮かびあがらせることで、都会では希薄になり、どうにでもうけ流されてしまうような人間の思いをここではつぶさに描いている。 (2024年11月25日) |
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| 気の毒ばたらき | ||
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「きたきた捕物帖」シリーズ最新刊。読みながら巻頭の本所深川の絵図を眺めていると、小道を駆け回る町人たちの息づかいが聞こえてくる。著者が生涯書き続けたいと願っているシリーズだけあって、宮部みゆきのエッセンスがじっくりと練り込まれている高濃度な逸品。 これを読めば、先の第一弾「きたきた捕物帖」、第二弾「子宝船」も読まずにはいられない。 (2024年11月20日) |
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| いのちの車窓から2 | ||
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7年半ぶりのエッセイ集。書き下ろしも加えた2017年からの星野源の日々を綴った27篇。 ミュージシャン、俳優としてはもちろんのこと、豊かに研ぎ澄まされた感性を文章に表現する才能の豊かさにあらためて気づかされる。 あとがきの「タイムラプスの様に点々と記録している本になったな」とあるのが実に源さんらしい素敵な表現。 テレビやラジオなどとはひと味違った源さんの魅力が伝わってくる。変化していく時代の流れに乗りつつも足もとを見つめ、ひたすらにいまを生きる。行間からは、たくさんの葛藤を抱え、乗り越えながら日々を送る生きた源さんが浮かんでくる。早くも次の第3弾を待ってしまう。 (2024年11月19日) |
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| 迷惑な終活 | ||
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内館節炸裂の「高齢者小説」シリーズ最新刊。著者はあとがきで言う。「終活」とは、遺された者に迷惑をかけないという他人軸も大切だが、自分が人生でやり残したことをやって憂いなくケリをつけることだと。読んでいてフツフツと活力がわいてくる。力強く今日を生きていこうと鼓舞される。 「終わった人」「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」「老害の人」に続くトドメの最新刊と帯にあるが、まだまだつづきを読みたい。 (2024年11月12日) |
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| いなくなくならなくならないで | ||
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言葉の紡ぎ方が絶妙なのがとても印象的。それはリズムであったり呼吸であったり、いわば言葉づかいの運動神経が抜きん出ているのでしょう。これは選ばれた作家の天性であるように思えてくる。小説を読んだと実感できる作品に出会えた。デビュー作にして芥川賞候補というのが納得できた。 (2024年11月06日) |
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| 赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。 | ||
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指輪の魔人の放つ「◯◯だず」の口ぐせが耳にこびりついてくる面白さ。衝撃的なシンドバッドの登場など、よくぞここまで奇想天外な話が展開できるものかと、童話とミステリを融合した世界に今作も驚かされるばかり。極上の素材を使って、見たことのない新しいアレンジ料理を作り上げる名シェフのようだ。 シリーズを重ね、注目度も期待度もあがる一方だが、まだまだ楽しませてくれそう。 (2024年11月04日) |
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| 私の馬 | ||
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人と馬との言葉のない世界を小説で描く作者の思いに深く共感してしまう。音、リズム、色、光が、繊細な描写によって脳に直接に訴えかけてくる。 言葉によって混乱する今の時代に、気づきをもたらしてくれる作品。言葉を共有しても理解し合えない人の世界が情けなく思えてくる。 馬の黒く美しく張った筋肉が目の前に現れ、空気を震わす力強い息づかいが行間から聞こえてきた。川村作品ならではの映像表現と繊細な人間模様の描写を味わうことができる。 (2024年11月03日) |
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| 新謎解きはディナーのあとで 2 | ||
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ユーモアミステリの代表シリーズとしてすっかり定着した感あり。本作も表紙絵どおりのキャラが立った登場人物たちの絶妙な掛け合いが目の前に浮かんでくるようだ。5話のどれもがミステリの醍醐味と面白さを読者に投げかけてくれる。やはりシリーズ第一作の本屋大賞第1位の実力から目が離せない。 (2024年10月08日) |
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