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ほんのいえ宮脇書店越谷店のレビュー |
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掲載レビュー全614件 |
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月と散文 | ||
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又吉さんの書くものは実に味わい深い、と今更ながら読みふけってしまう。 10年ぶりのエッセイ集。心が静かになる。気持ちがやさしくなる。感覚が澄んでくる。人にやさしくなれる。日常がいとおしくなる。言葉をたいせつにしたくなる。そんなそんな万能薬のようである。 プロフィールは芸人である。すぐれた物書きの芸術であると思う。 帯にある未収録原稿が読めるアプリも気になるところ。 (2023年04月12日) |
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老害の人 | ||
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内館牧子待望の「高齢者小説」第4弾。「終わった人」「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」の3部作に続く最新作は累計部数を伸ばし続けている。80代90代の群像劇に、そうそう!もう!とつぶやきながら、ついつい笑ってしまう。どこかせつなさもポロリ。明日はわが身と思って読み上げてください。パワフルな登場人物たちがそれぞれの目線から、直面する課題に立ち向かう。どれもが結構深くて考えさせられます。 (2023年03月29日) | ||
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光のとこにいてね | ||
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物語は2人の少女が出会いと別れをくり返しながら静かに静かに進んでいく。軽やかな透明感、せつなくもあり、熱っぽくもある不思議な作風に引き込まれる。昨秋の発刊以降、続々がかかっている。本読みのベテランが推す本屋大賞ノミネートに挙がるのもおおいにうなずける。 これほど心地よい読後感の作品は最近では珍しいかもしれない。 (2023年03月21日) |
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名探偵のままでいて | ||
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栄えある「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。マニアックな本格ミステリーにして、ヒューマンな探偵ミステリーなところが大きな魅力。ベテラン放送作家ならではの会話の小気味良さが秀逸だ。ぐいぐいと読ませて引き込むパワーを感じる。古典作品への入れ込みようも感じとられ、ミステリ読みの興味をくすぐる。早くも小説家としての次回作への期待が大いにふくらむ。 (2023年03月14日) | ||
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サブスクの子と呼ばれて | ||
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「リアル鬼ごっこ」のミリオンヒットで衝撃的デビューを果して以来、常に話題作を飛ばし続ける山田悠介。人材のサブスクサービスという想像を超えた近未来。リアリテイを感じてドキリとする。ヒトが商品として契約者へ派遣される果てに起きる悲劇とは。現代社会への問題提起を突きつける。 (2023年01月15日) | ||
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黒石(ヘイシ) | ||
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ファン垂涎の新宿鮫シリーズの最新作。新宿署の鮫島刑事がどこまでも悪を追い詰める。因縁の地下ネットワークに挑む鮫島になりきってしまうシリーズファンも満足。シリーズ累計800万部というのがその証拠。今作はひときわ激しいシーンも多い。これぞハーボイルドの大沢在昌ワールドを堪能できる。読後に早くも次回作が待ちきれなくなる。 (2023年01月15日) | ||
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栞と嘘の季節 | ||
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注目の直木賞受賞第一作である。高校の図書館を舞台にした青春ミステリ。返却本に挟まれたトリカブトの花の栞をきっかけに、ふたりの高校生が殺意の謎を追う。数々のミステリランキングを制覇した著者の本領発揮の一作。図書委員シリーズ「本と鍵の季節」の続編だが、ここからはじめて問題なし。もちろん前作もおすすめ。日本のミステリ界は実に面白い。 (2023年01月15日) | ||
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祈りのカルテ 再会のセラピー | ||
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人気の連作医療シリーズの最新刊。この秋のTVドラマ化でも話題。知念作品には医療ミステリ界の新鮮なテーマが盛り込まれている。やはり現役医師の医療ミステリには説得力がある。医療を題材にするというのは、人を描くということなのだとあらためて感じる。若い医師が成長していく物語でもあるよう。サクサクと読み進んだ後には、どこか心安らぐ感じがしてくる。 (2022年11月28日) | ||
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機械仕掛けの太陽 | ||
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未知のウイルスへの恐怖は現実となった。他国の小さなニュースに始まり、マスク騒動、危機感への温度差、混迷する政策、不安から生まれる差別、家族への感染とすべてが現実に起きてしまった。その間、絶え間なく戦い続ける医療従事者たちも、誰もが死を恐れ、家族を思いやる普通の人間であった。それでも逃げない姿に我々は救われている。医師である作家の説得力ある描写によって、正しい恐れを知ることができる。プロローグ2019年秋の“それ”に対するざわめきが、最後まで止まらなかった。緻密さと凝縮されたエネルギーが詰まった知念作品で密度の濃い時間を過ごすことができるだろう。 (2022年11月28日) | ||
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赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。 | ||
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見事な童話とミステリのコラボレーション。今度は赤ずきん、白雪姫、ピノキオ、3匹の子豚たちが素材となって、新しい料理に生まれ変わった。奇想天外な展開にグイグイと引き込まれてしまう。小さい頃に童話を読んだ大人の読み物として楽しみたい。これからも古今東西の童話が出番を待っている気がする。 (2022年11月28日) | ||
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invert 2 | ||
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今秋スタートのTV連続ドラマの原作シリーズ最新刊。主人公である死者の言葉を伝える謎の女性探偵が超個性的。タイトルのinvertは、反対とか逆転するという意味。ミステリを解き明かす独特の展開に惹きつけられる。まさに倒叙推理小説である。このシリーズの一作目「medium」はこのミス国内第1位など、ミステリランキング5冠を果たした。本作収録の2作品も期待を裏切らないクオリティ。さらなるシリーズ展開もあるようだ。秋の夜長にピッタリの極上エンタテインメント作品だ。 (2022年10月25日) | ||
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怪盗フラヌールの巡回 | ||
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デビュー20周年の西尾維新最新シリーズの始動第一弾。怪盗モノのミステリである。大怪盗だった父親の跡を継いで二代目を襲名したという今どきには破天荒な設定にワクワクさせられる。襲名披露公演ならぬ犯行開幕と思いきや、そこには初代父の好敵手のベテラン刑事が現れる。表紙絵のニヒルな主人公を思い描きながら、予測不能な展開にしっかりとしがみついて読み進めてください。あとがきには早くも次回作の予告もあるので、一作目をきっちり読んでいおきたいところ。 (2022年10月22日) | ||
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ハヤブサ消防団 | ||
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ヒットメーカー池井戸潤が放つ新刊。主人公は都会からのどかな故郷へと移り住んだミステリ作家。誘われて迷った末に入った地元の消防団。そこでは連続放火事件が待ち構えていた。ほのぼのしたり笑ってしまったりしながらの目まぐるしい展開に、あれよあれよとストーリーに引き込まれてしまう池井戸マジックはさすがに期待を裏切っていない。ドラマ化のキャスティングを勝手に想像しながら読んでしまいそうです。 (2022年10月22日) | ||
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少し嫌われるくらいがちょうどいい | ||
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人生100年時代の生き方指南書。ロングセラー「人びとの中の私」をリニューアルしての刊行。収録された21の見出しを見るだけでも胸にストンとくるものがある。「ふんふん」とうなずいたり、「いやいやそうは言っても」と思ったりしながら楽しんで読み進めてほしい。リピートして読むたびに、言葉の響きが違って伝わってくると思います。不安や怒りを感じることが多い毎日に、ふと肩の力を抜いて気持ちが静かになるメッセージがたくさん詰まっています。 (2022年10月22日) | ||
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戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々 | ||
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ウクライナの一家族がロシア軍事侵攻の中、地下での避難生活を経て国外脱出するまでを綴った真実の日記である。作者は絵本作家であり、2人の子を持つ母であり、妻であり、実母と暮らす娘でもある。戦況下でやむを得ず鉛筆一本で描かれたスケッチからは、とてつもない苦しみや恐れ、不安が伝わってくる。そのリアルな描写は数カ国で出版されて反響を読んでいる。ニュースだけではわからない緊迫した、本来あってはならない日常が見えてくる。戦争というのが実際に起こることを知った今、われわれはこの現実を知る必要があるに違いない。 (2022年10月22日) | ||
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こいごころ | ||
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大人気連作短編集「しゃばけシリーズ」の最新刊。2001年スタートしてなんと21弾を数え、シリーズ累計1000万部もみえてきた。馴染みのキャラが一瞬にして江戸の世界へトリップさせてくれる。永遠に生きるはずの妖(あやかし)の力が衰えて、もしかして最期が近いのか。いつも通り笑わせてもくれますが、今回は切ない展開も。もっとも読みやすい時代小説としておすすめです。 (2022年09月07日) |
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晩秋行 | ||
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突然消えてしまったひとりの女性を探す男。銀座、中目黒、会津高原を舞台に、赤いクラシックカーの目撃談をたどって、数奇な運命をさかのぼりながら女を探し求める。危ない橋を渡りながらも貫く男の思い。大沢在昌ハードボイルドの世界へと引きずり込んでさすがに読ませてくれる。30年を隔ててバブル期の熱気がよみがえる。大人の純恋愛小説として読み浸ってはどうだろう。 (2022年08月25日) | ||
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掟上今日子の忍法帖 | ||
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西尾維新の看板、忘却探偵シリーズの最新刊!舞台はなんとニューヨークのセントラルパーク。殺人現場には手裏剣が。そして容疑がかかったのがニューヨークに探偵事務所を開いていた今日子さん。FBI捜査官まで登場。異国で殺人犯扱いされた今日子さんが、眠るたびに記憶を失う特殊能力を活かして真犯人を探す名探偵ぶりを発揮。シリーズは数えて14弾。舞台は無限の広がりを期待させる。 (2022年07月21日) | ||
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子宝船 | ||
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舞台は江戸深川の長屋。岡っ引き修行中の北一と相棒喜多次の「きたきた」コンビの難事件ナゾ解き物語。頼りになる長屋仲間に助けられながらの人情話。表題作は、七福神を乗せた縁起物の宝船の絵から弁財天が消えてしまったという奇妙なお話。宮部みゆきの時代物人情話は超一級品。巻頭の本所深川絵図を見ながら時代トリップしてほしい。早くも大人気シリーズの第二弾として、さらなる続きが楽しみ。 (2022年07月19日) | ||
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くるまの娘 | ||
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芥川賞「推し、燃ゆ」の作家、宇佐見りんの注目の第一作。 物語は祖母のもとへクルマで向かう家族のやりとりで進んでいく。濃厚に重なり合う不幸な記憶があぶり出されていく。ギリギリの均衡を保つ家族ならではの平穏の危うさ。凝縮された描写からは著者が長く書きたかったという強い思いがヒリヒリ伝わってくる。純文学をひたすらに意識し追い求める作者の信念が伝わってくる。やはり目が離せない小説家である。 (2022年07月12日) |
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