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ほんのいえ宮脇書店越谷店のレビュー |
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掲載レビュー全614件 |
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ひまわり | ||
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プロローグでグイッと心をわしづかみにされる。 この作品は著者の大きな節目を感じさせるほどに読み応えたっぷり。新川作品の魅力のひとつは、心地よい軽妙さ。淀みなく流れ、軽やかでありながら地に足が着いた文章は読む者にいっさいのストレスを感じさせずに没頭できる。それは背筋がピンと張った小説でないと成立しないことを本作で実感し、あらためて大きな魅力を感じた。あらゆる立場から切り込むことができるジャンルを超越した枠におさまらない作家。 (2024年11月26日) |
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ドヴォルザークに染まるころ | ||
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本屋大賞受賞作家がつむぐ、ドヴォルザーク“家路”の旋律がストーリーの底に流れる優しくも鮮烈な一作。 止まっている過去、止めることのできない現在、止まってほしいと願う時間、それぞれが耐えながら向き合う日常を見つめ直すことができる。田舎町の濃密な人間関係を浮かびあがらせることで、都会では希薄になり、どうにでもうけ流されてしまうような人間の思いをここではつぶさに描いている。 (2024年11月25日) |
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気の毒ばたらき | ||
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「きたきた捕物帖」シリーズ最新刊。読みながら巻頭の本所深川の絵図を眺めていると、小道を駆け回る町人たちの息づかいが聞こえてくる。著者が生涯書き続けたいと願っているシリーズだけあって、宮部みゆきのエッセンスがじっくりと練り込まれている高濃度な逸品。 これを読めば、先の第一弾「きたきた捕物帖」、第二弾「子宝船」も読まずにはいられない。 (2024年11月20日) |
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いのちの車窓から2 | ||
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7年半ぶりのエッセイ集。書き下ろしも加えた2017年からの星野源の日々を綴った27篇。 ミュージシャン、俳優としてはもちろんのこと、豊かに研ぎ澄まされた感性を文章に表現する才能の豊かさにあらためて気づかされる。 あとがきの「タイムラプスの様に点々と記録している本になったな」とあるのが実に源さんらしい素敵な表現。 テレビやラジオなどとはひと味違った源さんの魅力が伝わってくる。変化していく時代の流れに乗りつつも足もとを見つめ、ひたすらにいまを生きる。行間からは、たくさんの葛藤を抱え、乗り越えながら日々を送る生きた源さんが浮かんでくる。早くも次の第3弾を待ってしまう。 (2024年11月19日) |
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迷惑な終活 | ||
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内館節炸裂の「高齢者小説」シリーズ最新刊。著者はあとがきで言う。「終活」とは、遺された者に迷惑をかけないという他人軸も大切だが、自分が人生でやり残したことをやって憂いなくケリをつけることだと。読んでいてフツフツと活力がわいてくる。力強く今日を生きていこうと鼓舞される。 「終わった人」「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」「老害の人」に続くトドメの最新刊と帯にあるが、まだまだつづきを読みたい。 (2024年11月12日) |
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いなくなくならなくならないで | ||
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言葉の紡ぎ方が絶妙なのがとても印象的。それはリズムであったり呼吸であったり、いわば言葉づかいの運動神経が抜きん出ているのでしょう。これは選ばれた作家の天性であるように思えてくる。小説を読んだと実感できる作品に出会えた。デビュー作にして芥川賞候補というのが納得できた。 (2024年11月06日) |
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赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。 | ||
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指輪の魔人の放つ「◯◯だず」の口ぐせが耳にこびりついてくる面白さ。衝撃的なシンドバッドの登場など、よくぞここまで奇想天外な話が展開できるものかと、童話とミステリを融合した世界に今作も驚かされるばかり。極上の素材を使って、見たことのない新しいアレンジ料理を作り上げる名シェフのようだ。 シリーズを重ね、注目度も期待度もあがる一方だが、まだまだ楽しませてくれそう。 (2024年11月04日) |
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私の馬 | ||
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人と馬との言葉のない世界を小説で描く作者の思いに深く共感してしまう。音、リズム、色、光が、繊細な描写によって脳に直接に訴えかけてくる。 言葉によって混乱する今の時代に、気づきをもたらしてくれる作品。言葉を共有しても理解し合えない人の世界が情けなく思えてくる。 馬の黒く美しく張った筋肉が目の前に現れ、空気を震わす力強い息づかいが行間から聞こえてきた。川村作品ならではの映像表現と繊細な人間模様の描写を味わうことができる。 (2024年11月03日) |
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新謎解きはディナーのあとで 2 | ||
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ユーモアミステリの代表シリーズとしてすっかり定着した感あり。本作も表紙絵どおりのキャラが立った登場人物たちの絶妙な掛け合いが目の前に浮かんでくるようだ。5話のどれもがミステリの醍醐味と面白さを読者に投げかけてくれる。やはりシリーズ第一作の本屋大賞第1位の実力から目が離せない。 (2024年10月08日) |
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フェイク・マッスル | ||
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選考委員大絶賛の第70回江戸川乱歩賞受賞作。謎解きに固執しないエンタテインメント作品として読み応えある一冊だ。 ユーモアミステリと評されるほど、読みやすく独特なスピード感にのっていくうちに作者の罠にはまってしまう。 クソ真面目なほどの主人公を応援したくなり、潜入取材モノとしてシリーズ化されるかもしれないと興味がわいた。 (2024年09月07日) |
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自由に捕らわれる。 | ||
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表現者としてマルチな才能を発揮するカンザキイオリは、小説家としても突き抜けていた。 デビュー作「あの夏が飽和する。」、第2弾「親愛なるあなたへ」に続く大注目の長編小説第3弾である。 叫び、憤り、喜び、悲しみ・・・言葉の魔術師は終章に向かって‘‘自由に捕らわれる”僕を描ききっていく。 書籍のみの通常版とは別にこの作品から生まれた曲を収録したCD付きの特装完全版もおすすめ。カンザキイオリの世界にどっぷりとつかるのもいい。 (2024年09月04日) |
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ブルーマリッジ | ||
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正義に対する価値観や世代がまったく異なる二人の視線で物語は進んでいく。 著者は切り取られた日常をストーリーに変換する稀有な感性の持ち主に違いない。変わりゆく時代の変化にザラつく息ぐるしさを感じ、彷徨いつつ救いを求めるようにページをめくっていった。 話題となったデビュー作「明け方の若者たち」のように映像化も期待したくなる長編作品である。 (2024年09月03日) |
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明智恭介の奔走 | ||
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ミステリマニア明智君の奮闘しながらの名探偵ぶりが実におもしろい。 「屍人荘の殺人」など話題の人気シリーズ初の連作短編集。読んでいて、いかにも「いま探偵小説を読んでいるぞ」という素直な満足感にどっぷりと浸れる。随所に挟み込まれる古典ミステリネタにミステリファンはほくそ笑んでしまうだろう。 この本で明智恭介への興味がグッと沸いてきたら、このミス第1位獲得の「屍人荘の殺人」を読まずにはいられなくなるだろう。 (2024年08月22日) |
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サンショウウオの四十九日 | ||
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これまでにまったく読んだことがない本の世界に連れて行かれた。 結合双生児の姉妹が主人公という特殊な設定を読むうちに、圧倒的な人間描写に吸い込まれてしまう。 医師でもある著者のすさまじいほどの創造力と想像力に驚かされるとともに、複雑な設定をなめらかに読ませてしまう作家の書くチカラにもうなってしまう。 (2024年08月18日) |
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夜行堂奇譚 伍 | ||
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500ページを超えるボリュームも一気に完読できる夏の夜にぴったりのホラーな一冊。 どこかコミカルでスタイリッシュなバディの掛け合いの妙が、正体不明の怖さから救ってくれる。これをきっかけに「夜行堂奇譚シリーズ」にどっぷりとつかってみるのもいいかも。 果てしなく続く予感いっぱいの展開に大きく期待。 (2024年08月12日) |
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サロメの断頭台 | ||
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著者ならではの大正時代感あふれる本格長編推理小説。舞台を観ているような独特な雰囲気にひき込まれていく。 話題作の「方舟」や「十戒」とはひと味違った密度の高い夕木ワールドを味わえる。 独特なテンポ感にひたりながら、たっぷりと時間をかけて読むことで満足感は倍増。 (2024年07月17日) |
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告白撃 | ||
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ベストセラー「君の膵臓がたべたい」の住野よるの最新作。 真剣に恋や友情と奮闘している30歳男女たちの青春再始動小説。読みながらに痛みやもろさ、くすぶる微熱を感じずにはいられないのが住野作品の魅力。カバーデザインが住野ワールドを見事に描いています。 (2024年06月19日) |
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コーヒーと失恋話 | ||
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ゆるやかな空間を漂い、静かな時の流れに身を任せながら、やわらかな感性で店主の思いをすくいあげる。 そのエッセンスで独自に創り上げた物語の世界。著者のインプットとアウトプットの柔軟さに引きこまれてしまう。 記憶の中の喫茶店を思い出してみたり、お気に入りの喫茶店を探しに出かけたくなる気分にさせる。 (2024年06月17日) |
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クスノキの女神 | ||
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不思議な言い伝えを持つ神社の一本のクスノキ。その不思議な力に導かれるように、神社を守る青年の元に様々な境遇の人々が繋がっていく物語。「クスノキの番人」に続く東野圭吾クスノキシリーズの第二弾。 苦しみ抱え込む心の奥底がクスノキの力によって優しく解きほぐされていく。今を生きることの大切さを感じ、クライマックスに向けてあたたかく、さらに熱い気持ちになっていく。 (2024年06月08日) |
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鐘の鳴る夜は真実を隠す | ||
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新感覚のミステリー小説シリーズの誕生である。ルール説明からはじまり、読者は8つのエピソードに隠されたウソの証言を探し求める。謎解きの情報整理のための“推理シート”なるものが巻末に付いているという趣向が凝らされ、さらにはエンディングを含んだ事件の真相が袋とじになっている。ゲームクリエイターならではの作者の仕掛けが小説にふんだんに練り込まれている。 (2024年05月22日) |
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