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平山書店のレビュー |
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掲載レビュー全609件 |
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小学校で剣道で友情を育んだ女子1人を含む4人を中心に物語は展開してゆく。6年生の時 遭遇した殺人事件。自分が犯人を撃ったと思い込み暗い過去を背負い刑事になった仲間のひとり淳一、スーパーで万引きした母親が店長から強迫される万木子、その元夫圭介。スーパーを経営する直人。少年時代4人で埋めた拳銃の行方をからめストーリは展開してゆく。結末は思いがけない結果となる。息もつかせぬストーリー展開。 (2016年10月14日) |
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片貝道場で多感な少年時代を過ごした、主人公をはじめ五人が年を重ねることによる、さまざまな人生模様が描かれている。武士社会では家柄がものを言う、下士と上士の身分。家老を輩出してきた、杉山家の忠兵衛と下士の身分でどっかの婿入りをして実家の厄介者にならない生き方が精々の主人公。主人公は平坦だが水もない不毛といわてた土地に運良く水を引き、また豪商を使い二千町歩の開墾に成功する。藩主からじきじきの推挙で中老に抜擢される。出世を拒んでいたのが親友だったと明かされ、夫々が権力闘争へと進んでく模様が迫力十分にえがかれたいる。大袈裟に言えば生きてゆく上で必要なものがいっぱい詰まっている。 (2010年5月9日) (2016年10月14日) |
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カタコンベ、なんとロマンを呼ぶ語感だろうと本書を手にとって見た。表紙には暗い水中を潜水器具を身につけ遺跡(実際は岩御洞湖なのだが)の中を泳いでゆくイラストではないか。ますます興味がわく。なにかローマ時代のポンペイ(こちらは火山の爆発で埋もれた)やアレクサンドリアのような文明がそのまま埋もれれ、数千年まえの生活を見ることが出来ると勘違いから読み進めると、カタコンベとはローマ時代の裕福な階層だけが持つ、地下埋葬地をさす。未知の岩洞穴を舞台に設定して物語を構築してる異色作品、大部分を地下の行動や情景描写だが、あたかも読者をその世界へ誘う筆力はたいしたものだ。ミステリーというと殺人が相場だがそこはぜひ読んでいただきたい。5年前の殺人と地下がリンクしてくる、壮大な様相をも見せてくれる作品だ。 (2012年10月19日) | ||
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小学校で剣道で友情を育んだ女子1人を含む4人を中心に物語は展開してゆく。6年生の時 遭遇した殺人事件。自分が犯人を撃ったと思い込み暗い過去を背負い刑事になった仲間のひとり淳一、スーパーで万引きした母親が店長から強迫される万木子、その元夫圭介。スーパーを経営する直人。少年時代4人で埋めた拳銃の行方をからめストーリは展開してゆく。結末は思いがけない結果となる。息もつかせぬストーリー展開。 (2012年09月04日) |
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日米の戦争を記したものは数多い。パールハーバーからの海戦の流れがよく解る好著。自分の理解の整理にも大変役だった。来年映画化されるとか、そして映画の導入はこのようになるのではないかとか「ユーチューブ」にアップされたりし大変盛り上がっているらしい。国の方向を決めるのは生きてる人のためだけで決めてなならないと納得させられた。(チェスタトンのいう縦の民主主義) (2012年09月04日) | ||
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この辺で、著者の塩野さんがこの連作を通じて目指したものを確認しておきたい。それは本巻142ページに明らかなように、「人物を描きながら時代を描くこと」にある。むろん本作品の表題『ローマ人の物語』もこのことを表現したものに他ならない。 さて、いよいよ”人類史上最高の指導者”と称されるユリウス・カエサルが登場する。そのカエサルは「女にモテただけでなく、その女たちから一度も恨みをもたれなかったという稀有な才能の持ち主」であったという。このことについて著者の女性ならではの解釈が面白い。それは、彼が選んだ相手に彼が強烈に求めたがゆえの成功だ、というのである。 確かに、人間存在の肯定を希求し20世紀詩の最高傑作『ドゥイノの悲歌』を著したドイツの詩人リルケも「愛されることは無常であり、愛することは永続である」と言った。慎重に相手を選んだとはいえ、愛することで常に自分に対する磨きかけを行うことによって、自分の眠っていたものが開花したという解釈だろう。(のり) (2012年01月30日) |
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この巻では、古代ローマ共和政の要というべき元老院が徐々に弱体化し、寡頭システムへ移行してゆく過程が描かれる。この後、ローマ共和政が世界史の舞台で再び脚光を浴びるのは1789年のフランス革命まで待たねばならない。この時共和政という政治システムは新たに、自由・平等・博愛の理念を与えられ、現在では民主主義の始まりという見方が定着している。 さて、イギリスの思想家エドマンド・バーク(1729-1797)は、『フランス革命についての省察』でフランス革命とその後の共和政体を批判的に考察した。古くはプラトンも民主政を批判の対象としていたが、バークの著作以降、西欧の教養人たちにより民主主義の危険性が繰り返し指摘されることになる。偉大なローマの歴史に学ぶことは多いけれど、急激な変革によるのではなく古いものを漸進的に改良してゆくその姿勢が重要だと思われる。 「私は我が祖先の手本に見習いたい。私は、補修を加える場合にも可能な限り旧来の建物の型に似せて行いたい」とは前掲、バークの言葉である。 (2012年01月16日) |
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ポエニ戦役を通じて、ローマは外の敵を取り除くことに成功した。急速に大きくなったローマは、それにともなう「内なる敵」すなわち経済構造の激変に直面する。結果として生じた深刻な問題が無産者の出現だった。著者が語った次の言葉が印象的だ。「人間が人間らしく生きていくために必要な自分自身に対しての誇りは、福祉では絶対に回復できない。職を取り戻してやることでしか、回復できないのである」と。 かつてヘーゲルは『法の哲学』で市民社会について考察し、自分の人生の基本を職業生活に求めて、初めて相応の”誇り”も得られるのだと説いた。そして、幸田文の『流れる』では、主人公の梨花が広いが退屈なしろうとの世界より、狭いが豊かな芸者置屋の世界を転職先に選んだ。これは安楽さよりも、まずその職業に自分の人生を賭けることが出来るかどうかが自身の”誇り”を左右することをも意味しよう。 この巻のローマの迷走は、経済活動における自由を拡大しようとした苦闘の歩みであるといえる。そのシステム改良の積み重ねが、ローマの歴史そのものでもあるのだ。 (2012年01月04日) |
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かつて小林秀雄氏との対談をまとめた『人間の建設』で、日本数学史上最大の数学者と称えられる岡潔博士はローマ時代について次のように語った。「あのときの時代は功利主義だったと思う」と。 ローマはポエニ戦役の後、ギリシアの都市国家コリントを破壊し、鋤でならしてただの更地にした。かつてあれほど憧れていたギリシア人の国家をである。このあたりからローマは、政治を重んじ、軍事を重んじ、土木工事を求める性向を強めてゆく。そして元々彼らがもっていたすぐ実社会と結びつけて考える性向はますます鮮明になってゆく。それはかつて古の神々であった、そしてギリシアの知性であったろうが、ローマ人から垂直軸が失われたことを意味しよう。ローマが混迷に陥る兆しは確かにあったのだ。 さて、日本はいま相対化した社会の中にありその結果としてモラルの危機に陥っている。卑近なところでは長期化するデフレの中、有効な手を打てないでいるように、いまはぶれないための”軸”がない状態だ。ローマ人のこの後の難局への対応の仕方に、現代日本人が生きるためのヒントを見出せるかもしれない。 (2011年12月27日) |
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”桧舞台”という格の正しい舞台をあらわす言葉がある。そこから転じて、「自分の腕前を示す晴れの場所」のことを意味するようになった。本巻の舞台となった南ヨーロッパは、まさにハンニバルにとっての”桧舞台”に他あるまい。 さて、この言葉のご本家、能楽を大成した世阿弥は『花伝書』の中、舞台の実践の心構えとして「常識はなかれ」ということを説いている。これは、心がとらわれることをいましめたものだ。いったん何かにとらわれると、それが発展や成長の妨げになるからである。世阿弥は一座の存続という危機感を胸に役者の使命は目の前の観客をいかに満足させるか、この一点の思いからこの書を著したと言われる。舞台の度に変わる観客を相手にするためには一つのパターンにとらわれていては立ち行かないことは容易にお分かりいただけよう。 一方で、ハンニバルの戦いぶりに美しさすら感じるのは、ローマを倒すその一念と、戦いの度に変わる他国の地形、住民、敵軍等々の要素を綿密な情報収集を土台として実戦に活用し得たハンニバルの手腕にあった。両者ともに強烈な使命感を美学にまで昇華させたのである。(のりすけ) (2011年12月19日) |
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この巻よりローマは初めてイタリア半島の外、地中海に出る。カルタゴとの間に行われた「ポエニ戦役」の始まりだ。その前、半島統一の過程でローマが見せた独特の一面を思い出して欲しい。それは、敗者を同化して版図を広げてゆくことにあった。敗れた彼らが自治を許された代わりに要求されたのは戦時における兵力の提供であった。 戦時ともなると当然、様々な部族出身の兵隊が一つに集められる。そのような兵たちを軍隊として機能させるため、ローマの軍規律は厳しいことこのうえなかったという。先に第1巻のところで、ローマは”ヨーロッパに秩序を与えた”と紹介したが、その起源はこの彼ら独特の発展の仕方にあったといえよう。 さて、規律と秩序を定めたローマが、この時期ギリシャの優美性に憧れを抱いた事実が知られている。それは、いみじくも『世界残酷物語』の著者コリン・ウィルソンが、「ローマ人は想像の世界に住むことをついに学ばなかった」と評したように、自らに欠けているものへの羨望だったのかもしれない。 NORI (2011年12月05日) |
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前390年のケルト族来襲を切っ掛けとした改革によりローマの共和政体が機能し始めた。ローマの成功の理由の一つは、貴族平民と区別し役職を配分する道はとらず全面的に開放し、役職は自由競争の状態に置いたことだ。このことにより、常に経験と能力に優れた者を要職に配置することができたのだ。さらに、上位にあった者が下位の官職を務めることは、政官界にかぎらず軍隊でも行われ、不名誉とも不適切とも思われていなかったという。この人材の流動性の高さは驚くべきことではないだろうか。元官僚の古賀茂明氏が種々の著書で嘆いて見せた官僚人事の硬直さからは天地ほども隔たりがある。 さて、ローマの歴史が面白いのはこれからである。この一見理想の姿に見えるローマ政体にカエサルがなぜ必要とされたのか?想像を膨らませながら読み進んでみても、また愉しい。(のり) (2011年11月19日) |
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「ギリシア人はヨーロッパ大陸に哲学を与え、ローマ人は秩序を与えた」この両者の違いを説明するのにこういった言い方がされることがある。本書後半から始まるそのギリシア人の歴史から興亡のきっかけを読み取ってゆこう。統一的体系的な哲学はヘーゲルを最後に終わりを告げ、この相対化の時代ともいえる現代に生きるわれわれの目から哲学、秩序の原点を見れば、きっと様々な切り口からアプローチすることが可能だろう。それは、きっとわれわれ現代人に与えられた特権なのだ。本作品と同時代に生きたわれわれが、将来羨望の目で見られる日もそう遠くない予感がした。 (2011年11月10日) | ||
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ミステリー小説の醍醐味は、謎解きの面白さが重要であることは論を待たない。 しかし読む側から見れば、先の見通しがつかない緊張感を最後まで維持できるかが 楽しめるかどうかの必要な条件と言えそうだ。 さて、本作の導入は微妙な男女関係から始まる。かつて九鬼周造は『いきの構造』で「いき」の要素として、異性との間のどう転ぶかわからないような不安定な関係を媚態と呼び第一に挙げた。不安定さはつまるところ緊張感の持続する状態である。 本作が成功しているとすれば、最初”不倫”というきわめて危うい状況から始まり、それが一応の落ち着きを見たすぐ後に、今度は謎解きの闇へと続く、いわば緊張感の質的変換が見事に接続されているという点をまず挙げることができるだろう。 ちなみに読書子は著者の作品の中で、直木賞受賞作が好きなのだ。当時、雑誌連載中のものをリアルタイムで読んでいたが、男女の「いき」と謎解き、両方の緊張感が最後まで途切れることなく持続した作品だった。読者諸子の見方はどうであろうか? (2011年10月14日) |
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大正から昭和のはじめにかけて実在した巨大商社、鈴木商店の女経営者の物語。鈴木商店は日本が工業化して近代化してゆく過程で大きな役割をはたした。神戸製鋼所。帝人、サッポロビールなどなど日本を代表する企業が鈴木商店を母体としている。その勃興、成長期、最盛期をお家さんと敬意をもってよばれる主人公鈴木よねと浅からぬ因縁をもって登場する少女珠喜。ノンフィクションのようにかかれていながら、珠喜の成長物語にも読め大変読みやすくなっている、知らず知らずのうちこの時代の日本の立場や世界情勢にも触られ、理解がすすむ好著。 (2011年01月18日) | ||
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旧来のタイトルでいけば「読書のすすめ」ということになろう。著者は、 気になる箇所はページを折り、より感動した箇所はダブルで折るという 独自の読書方法を会得し披瀝している。あとで読み返した時、何故そこ をダブルで折ったのか検証することは自分の成長の糧になると。また 「本にお金をかけるべし」は、大変気にいったフレーズだ。本は買わない と身につかないと、常々思っていたことを著者が代弁してくれたからだ。 (2010年11月02日) |
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職場の人間関係が難しくなった今日、仕事以前にその事で悩む人が多い と仄聞する。メンタルクリニックが盛況な事でもわかる。本書は仕事上の トラブルをケースに応じて検証する構成になっており、そのケースが34場 面に及ぶ。筆者が長年、会社のコンサルタントに携わってきた経験に基づき、 実際役立つものばかりである。「理不尽なことを言う相手には・・」「相手 の本音を探りたいとき・・・」など満載、是非手にとって貰いたい。 (2010年11月02日) |
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改革の名のもと、変えてはいけないものまでも変えようとしている | ||
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本書を読み終え、過熱した頭を冷やすためテレビのスイッチを入れると、ちょうどクイズ番組が放送されていた。それを眺めていてふと気付いた。彼らの頭の良さに見えるものは、反射神経そのものにすぎないのではないだろうか?と。 それと同じことが、今進行中の学校教育のデジタル化により一層促進される、と著者は語る。確かに近代科学の発達は、物事をデジタル化し予測の出来る便利さをもたらした。しかしながら近代科学のしたことは、実は対象を計量できるものに絞ることから始まった。それは人間の営みのなかでほんのわずかな一部分にすぎない。狭い枠に人間を押し込めたその代償として、われわれは行動の自由や生活の便利さを手に入れることが出来たのだ。 それだから、いま一見豊かに見える世の中で、生きにくさを感じる人や社会生活から落伍してゆく人がいるのも当然の帰結といえるだろう。 精神活動に携わる者は常にこういうことを頭に入れておかなくてはいけない。以上のようなことを踏まえて本書に取り組んでみられたい。きっと深刻な問題がそこにあることが見えてくるだろう(のり) (2010年09月16日) |
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四十過ぎの中年女性梨花は、芸者置屋の世界に魅力を感じ、住み込みの女中になることを決心する。狭いがゆえにすぐ底まで知り尽くせそうな気がする。そして、この世界にいるとめまぐるしくいろんなことが起きそうな気がする。しろうとの世界は退屈で広すぎる。広すぎて不安である。それが梨花の理由だった。梨花は二日間の間に、傍観者的立場から主体的なかかわりをもつ存在へとその身を移した。この梨花が置屋の女中を選んだ理由の場面は、うっかり読み飛ばしてしまいかねないほど、取るに足らないことに見えるけれども、味わいのある示唆を含んでいる。梨花が広い世界よりも、狭く不自由な世界を選んだからである。 (2010年05月05日) | ||
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著者は以前NHKの「週刊こどもニュース」で解説を担当し、時事ネタをを歯切れ良く解説され、それを聞いていて大人の方でも腑に落ちると納得した方もおられたかとは思う。 その分かりよさが、民放の番組にも多用されている理由だろう。本のほうもかなりの点数が出版されている。この本は具体的な新聞の記事をそのまま掲載し、池上流の分析を 紹介するような編集で23の記事を解説している。その記事が現在進行している事案ばかりだ。「民主党政権」「地球温暖化」「オバマ政権」・・・・この本は記事の底に流れる目に見えないことまで見せれくれる好著、ルビもふってくれているのがうれしい。 (2010年03月02日) |
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