|
| ほんのいえ宮脇書店越谷店のレビュー |
| 掲載レビュー全625件 |
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書 | ||
|
||
|
怖い物見たさのタイトルに飛びついたのもつかの間、ストーリーの呪縛から逃れられぬままに恐れは頂点へと達した。ザワつく恐怖の連鎖をほかの誰かにも広めたくなるような焦りさえ感じた。作家の術中にまんまとはまってしまったのを実感しつつも、画期的実験小説の治験参加者となる喜びに浸ってしまう。 つねに小説の既成概念を覆す作家知念実希人は、やはり唯一無二の創造者であると確信した。 (2025年11月08日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 白魔の檻 They were gone | ||
|
||
|
閉ざされて切迫した状況の中、連続犯罪の息詰まる展開にページをめくる手が止まらなかった。現役医師ならでは描写が、戦慄の場面をリアルに引き立て不思議な臨場感覚につつまれる。ストーリーの裏に地方医療の抱える深刻な課題もみてとれた。 本屋大賞候補で話題となった「禁忌の子」に続く本作も医療サスペンスとして密度の濃い仕上がりを感じた。 (2025年11月08日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| さらば!店長がバカすぎて | ||
|
||
|
シリーズ第3弾となる本作でも、店長の愛すべきおバカパワーが炸裂する。でもこの店長、タダ者ではない不思議オーラがでている。書店の裏側もちょっぴり覗けるようでなかなかに面白い。書店を見る眼も変わるかもしれない。 完結の雰囲気を漂わせているけれど、まずは既刊3冊読破をおすすめしたい。 (2025年11月08日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| アトミック・ブレイバー | ||
|
||
|
先ずは不穏に満ち満ちたプロローグでロックされた。そして未体験の没入感へと吸い込まれていく。 これぞ呉作品と唸らせる圧倒的なエンタメ感に撃ち抜かれた。本のページをめくりながらも、目の前のディスプレイに格闘シーンが目まぐるしく展開する錯覚に陥る。登場人物たちのぶっ飛んだ個性も光る。複雑に絡み合うストーリーを時間をかけて咀嚼することに妙な心地良さを味わった。 作家デビュー十周年の節目にふさわしい渾身の作品と感じた。 (2025年11月08日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 普天を我が手に 第2部 | ||
|
||
|
昭和元年生まれの男女四人が織りなす壮大な人生絵巻である。この第二部では生まれも育ちもまったく違う四人が戦後の東京の地で少しずつ近づいていく。混乱の時代をたくましく生き抜いていくリアルな生命力が伝わる作品。 昭和100年の今に読んでおきたい三部作。既刊の第一部からぜひ読んで、12月刊行の第三部を待っていただきたい渾身の大作だ。 (2025年10月07日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 魔法律学校の麗人執事1 | ||
|
||
|
魔法にかかってしまったように未知の世界観に引きずり込まれてしまった。マルチな才能とパワーが炸裂する新川帆立ならではのリーガル感、ミステリー感、ファンタジー感てんこ盛りの新領域のエンタメ小説だ。 カバーイラストに触発されて、脳内に臨場感いっぱいの映像が映し出される。映像化を勝手に決め込んで、思わずキャスティングを楽しんでしまう。早くも第二巻への期待が高まる。新川帆立のエネルギー溢れる挑戦から目が離せない。 (2025年09月26日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 普天を我が手に 第1部 | ||
|
||
|
昭和の史実を織り込んで丸ごと物語に作り上げた壮大な絵巻物のようである。大きな時代のうねりの中で、翻弄されつつも日々を精一杯に生きる日本人の姿がつぶさに描かれている。戦争と平和を深く考える夏に、じっくりと読み味わいたい。 9月に第2部、12月に第3部が発刊予定で待ち遠しい。この力のこもった三部作は、奥田英朗作品の代表作となることは間違いない。 (2025年08月27日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 地図と拳 上 | ||
|
||
|
現代文学の代表作が待望の文庫化。 日露戦争前夜から第二次大戦までの満洲が舞台。博覧強記な作家の脳から紡ぎ出された壮大にして緻密な物語に吸い込まれていく。巻末に記された膨大な参考文献は驚くばかりである。小川哲の叫びを噛みふくめるように読んでいると、文庫上下巻700頁を超えるボリュームも時を忘れてしまう。戦争を考える夏、読むべき名著がここにある。 (2025年08月14日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| フロントライン | ||
|
||
|
話題映画の小説版。あの時ニュースで見た3700人の乗客乗員を乗せた豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」では実際に何が起きていたのか。現場の最前線「フロントライン」で未知のウイルスと闘う人たちの壮絶さがリアルに伝わってくる。大ヒットドラマを数多く手掛けてきた名プロデューサーによるデビュー小説は期待を超えた。 情報は今なお人々を翻弄する。話題先行の情報氾濫は人を狂わせてしまうことをあらためて思い知らされる。先の見えなかったパンデミックの日々を振り返ることで、命の尊さを深く考え直すきっかけになる。 (2025年08月05日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| K 時代の恋人 | ||
|
||
|
物語の第一章は学生運動の時代から始まる。熱を帯びた時代のさなか、主人公はささやかな日常の流れの中で恋心を燃やす。文章からにじみ出る昭和の心地よい空気感に包まれる。タイトルからしてノスタルジックな雰囲気を醸し出している。 後悔しないあきらめの悪い生き方を学んだ気がしてくる。古い映画のフィルムをたどるような素敵なふりかえりの物語。 (2025年08月01日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 三毒狩り 上 | ||
|
||
|
読者はこれまでに味わったことのないザラついた感触を味わうことになるだろう。読んでいて逃げ出したくなりつつも、グイグイと引き込まれ縛られていく没入感たっぷりの骨太な作品。極上のハードボイルドであり、SF的な魅力もあわせもっている。 直木賞受賞作「流」の衝撃を思い出しながら、ガッツリと読ませてくれる。 (2025年07月29日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 街とその不確かな壁 上巻 | ||
|
||
|
待望の文庫化である。作家自身の「あとがき」によれば、この小説は1980年に文芸誌に発表した中編小説が核になっているという。然るべき時期が巡ってきたら、じっくり手を入れて書き直そうと思ったという。村上春樹の文学的原点を感じずにはいられない。40数年を経て完成したこの作品は作家にとっても、読者にとっても格別であり、特別な存在となった。本棚の大切な一角にこの2冊が加わることは間違いないであろう。 (2025年06月15日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 少年とクスノキ | ||
|
||
|
ベストセラー小説「クスノキの番人」「クスノキの女神」に続くクスノキシリーズの第三弾は驚くことに絵本であった。馴染みある東野ワールドの本格ミステリとは、ひと味もふた味も違った奥深いメッセージが伝わってくる。絵本は読み聞かせをしてあげるような子どもだけの読み物ではなく、万人に語りかける力を持っていることに気づく。クスノキからの大切なメッセージは、絵本を通じて世界中に広がることだろう。 第一弾の「クスノキの番人」は映画化も決定したという。神秘的な雰囲気漂うクスノキシリーズから目が離せない。 (2025年06月05日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 夢をかなえるゾウ 0 | ||
|
||
| 人気の自己啓発小説「夢ゾウシリーズ」が文庫化して5冊が勢揃い。なぜか関西弁でゾウの姿をした神様が夢の見つけ方やかなえ方を導いて、成功への水先案内人になってくれる。日替わりでカバンやポケットに入れて持ち歩いて、ちょいちょいページをめくるなんてどうだろう。楽しみつつも人生の価値観が変わっていく実感が得られる。シリーズとはいえ、どこから読んでも大丈夫。なんだか御利益があって、ヤル気もわいてくる。シリーズ累計で500万部を突破したというのは、読者が自己啓発の手応えを実感した証しだろう。 (2025年06月03日) | ||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| カフネ | ||
|
||
|
2025年本屋大賞受賞作である。ここには様々な事情で息苦しさと向き合いながら生きていく人たちに、そっと寄り添うささやかな関わりが描かれている。小さな波大きな波を乗り越えていく登場人物の日常に引き込まれながら読み進んでいく。根っこに社会派の骨太さが貫かれていることも作品の魅力を膨らませている。 書店員が読ませたいと思うにふさわしい、小説を読む喜びを実感できる作品といえるだろう。ほのかな希望が元気をもたらしてくれることに気づかされる。 (2025年05月06日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| それいけ!平安部 | ||
|
||
| 「成瀬は天下を取りにいく」2024年本屋大賞受賞で新作への注目が一段と集まる中、期待を大いに上回る作品が仕上がった。青春真っ只中!、まるごと青春!って感じのまぶしさあふれる青春群像劇。元気いっぱいのハツラツとした会話は、誰もがタイムスリップしてしまいそうなリアル感に満ちている。そのまんまの青春映画ができそうだ。新学期のこの季節に、ワクワク感を運んでくれる。 (2025年05月13日) | ||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 謎の香りはパン屋から | ||
|
||
|
今回の「このミス」大賞受賞作は、これまでとはちょっと違った雰囲気を醸し出している。日常の謎ミステリでシンプルな謎解きが魅力的に感じるのは、全体を包む独特な心地よい空気感のせいだろうか。ミステリー短編の新しい面白さを発見できる。 5つの連作それぞれの題にパンの名前が練り込まれていて、パン屋でのバイト経験がふんだんに生かされているという。現役の漫画家の顔も持つ作者らしくキャラ立ちが実に巧妙である。 (2025年04月13日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| C線上のアリア | ||
|
||
|
朝日新聞連載時から注目された作品。これまでの湊かなえ小説とはひと味もふた味も違った印象を持つ。介護や認知症、嫁姑問題などといった現代の根深い現実を裏に映しつつ、女性の声なき声で展開するミステリー。さまざまな問いかけを受ける読後感に包まれる。 伏線アイテムとなる村上春樹ノルウェイの森を再読してみたくなる。 (2025年04月01日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続 | ||
|
||
|
宮部みゆきの時代小説はファンタジーである。そして時代小説は枯れないと確信するのである。宮部作品を読むと古い日本語の豊かさに気づく。凝縮した宮部作品の魅力が本作でも存分に味わうことができる。 二代目聞き手の富次郎による怪奇譚に興味がふくらむ。墨絵調の挿画が一層に雰囲気を醸し出している。 (2025年03月13日) |
||
|
|
| 商品詳細画面へ | ||
| 恋とか愛とかやさしさなら | ||
|
||
|
期待せずにはいられない注目の直木賞受賞第一作。描きたかったであろう作者の恋愛小説への強い思いが伝わってくる。 主人公がもがき苦しむモノローグに思わず息をのんでしまう。独特の余韻と読後感を漂わせる作家一穂ミチのこれからの作品にもいちだんと興味がわいてきた。 (2024年11月27日) |
||
| 掲載レビュー全625件 |
| このページのトップへ |